2019/08/20

フィンランド女性画家 Helene Schjerfbeck (ヘレン・シャルフベック)展@ロイヤルアカデミー

まだまだ日中は暑い日々が続く8月下旬、ロイヤルアカデミー美術館でフィンランド女性画家のHelene Schjerfbeck (ヘレン・シャルフベック) 展を鑑賞。




平日の昼間にゆっくりと落ち着いて美術館巡りをするのは、まさにぜいたくな至福のとき。ロイヤルアカデミーは客層が若干エレガントで、ご婦人に話しかけられる事が多い。(そして彼女らの高尚で表現豊かなボキャブラリーに、いつも学ばさせていただく)




この日は、特にHelene Schjerfbeck目当てで出向いたのではなく、なんとなく立ち寄ったらやっていたという、正に偶然の出会い。(あ、でも彼女の肖像画を広告などで目にはしていたので馴染みはあった)




フィンランドというよりはパリっぽい雰囲気、モダンでアバンギャルドだけど、エレガント。2019年の今見ても100年前の作品だとは思えない感性。若干蛍光味のあるパステルな色彩が、とても印象的。個人的には日本の80年代のニューウェイブ系漫画を思い起こしていた。


若くしてその才能を発掘された天才画家だけど、女性としての人生は幸薄かったみたい。華やかさの中に見え隠れする静かな「影」の部分が、ゾクっとするような深みを感じさせる。


なかでも圧巻なのは、1862生まれ1945(終戦の年)没の彼女が、死の直前まで描いていた自画像。




若々しい肉体は歳と共に衰え、内面から放たれる光も人生ステージによって変化してゆく。希望や絶望と共に、女性として生きてきたHelene Schjerfbeck自身の闇の淵を垣間見るような感覚。胸がズキンとした。


ちなみに会場のロイヤルアカデミー美術館は、その門をくぐるとピカデリー通りの喧騒が嘘のように静まり、なんとも気の流れの良いお気に入りの場所のひとつ。シティセンターに出て疲れちゃったときは、カフェやレストランよりも、美術館で一息ついたほうがなんだか心が休まるね。




重厚な建築物の真ん中でアート作品に囲まれながら、なんとものんびりと休憩ができちゃうのがうれしい。


0 件のコメント: