ところが近年Youtubeなどで様々な動画が手軽に見られるようになり、改めて世界中のバレエ映像を有難く観賞しはじめみたらアラ大変!昔のバレエ熱が再発してしまった・・・のが5年くらい前。以降、DVDで見る演目以外にも、専門誌や評論・インタビューなどでバレエ団やダンサーはもちろん、振付師や舞台装置などプロデュ―サーサイドや裏方などの背景を知るようになり、最高にほれ込んでしまったのが英国ロイヤルバレエ団。
バレエ熱再発当初は、ディアナ・ヴィシニョーワ/Diana Vishnevaやシルヴィ・ギエム/Sylvie Guillem、ダニール・シムキン/Daniil Simkinやセルゲイ・ポルーニン/Sergei Poluninといった超人達の身体能力に目を見張り、「バレエ=(イコール)肉体のテクニック」という非常に短絡的な色メガネで観賞していたのは確か。
しかし、ある時何の気なしに見た英国ロイヤルバレエ団のリハーサル動画で、振付師がダンサーの動きひとつひとつへアドバイスを加え、踊りに肉付け色付けをして深みを見せていく過程に、ものすごい感銘を受けてしまった。それは想像/期待していたような「肉体的な技術を向上させるアドバイス」ではなく、むしろその真逆とも言える、登場人物の感情や内面の葛藤、さらに魂レベルでの愛や運命の受容など、非常に繊細な部分へ働きかけ、それをいかに表現するか?に心を砕いていたのだ。
お人形のように華奢で真直ぐな手足を持つダンサーが、どれだけ高く脚を上げるか、どれだけ早く回転するか、どれだけ正確にバランスを保つか・・・そういった肉体的技術よりも、その完璧ではない肉体を介して表現される生々しい感情が、バックダンサーや音楽と舞台装置と共鳴し作り上げられる空気が、いかに観客へ伝わるか?を身上としているのだろう。
英国ロイヤルバレエ団の特徴は、様々な国籍のダンサーが所属する豊かな国際色と、その演劇的要素の高さ、と言われるけれど、まさにそれを裏付ける指導方針を垣間見て以来、私のバレエに対する考え方が変わり、より人間味あふれるこのバレエ団(オペラも同様)にますます夢中になってしまった。
ともあれ、そんな思い入れ満載の英国ロイヤルバレエ@ロイヤルオペラハウス。しかも演目は最も興行成績の高い「くるみ割り人形/Nutcracker」。もうこれだけで目がハートですが、さらに最前列の席で開幕前から胸ドキドキ(←なんかカワイイ)
いやいや、場内に足を踏み入れただけで、感動で涙が出そうなくらいで・・・だって、あの作りで、あの雰囲気ですよ。普段インスタ用に写真カシャカシャ撮りまくる私が、スマホに手を伸ばす余裕すら無かったという。
ちゃんとドレス来て化粧もバッチリして気合入れてたけど、もうね、3回くらい感動で涙ボロボロ流しちゃったから、マスカラ溶けて目の周り真っ黒。(休憩時間のトイレで鏡みてビビッた。)さすがに最前列だけあって、ダンサー達の表情までしっかりと手に取るように感じるし、なんたって演目が華やかなお祭りムード満載の「くるみ割り人形」だから、あっと言う間に時間が過ぎていき、「ああ時間よ止まれ」と何度思ったことか。
そして最高の見せ場である「金平糖のグラン・パ・ド・ドゥ/Sugar Plum Fairy」は、あの美しい旋律と繊細で優雅な踊りが融合し、もう至福のとき。私はもちろん、ふたつとなりに座っていたおじさんも涙ぬぐってたし、それまで退屈そうに見ていたダンナさんも身を乗り出して見ていた。
人種の坩堝といわれるロンドンの、英国ロイヤル(=王室)オペラハウスの劇場。その会場と舞台上には様々な人種/国籍の人々が集まりながらも、伝統的な芸術作品を堪能することができる、というのはとても素晴らしいことなんじゃないかな。これがパリのオペラハウスだったら、モスクワのボリショイだったら、どんな感じなのかな?なんて思ったりもした元旦の夜。
今後も沢山の作品が上演されるので、今から前売りチケット買って 楽しみにしております。次回は2月の「ジゼル」とオペラの「カルメン」!
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