2020/05/02

変態ポランスキーの真骨頂・1965年「反撥」

ポランスキーといえば、「戦場のピアニスト」や「テス」といった感動作監督といった印象が強いかもしれないけれど、かつては「ローズマリーの赤ちゃん」や「チャイナタウン」といった問題作も撮っておりました。

なかでも、私が個人的にほれ込んだ作品が、1976年作の「テナント・恐怖を借りた男」。今でもベスト20くらいには入る。





もうこれね、最高。ポランスキー自ら主役を演じ、若かりし頃のイザベル・アジャーニも恋人役として登場(とはいえあくまで背景としてで本筋ではない)。

主人公が妄想と憑依に翻弄され、静かにゆるやかに、しかし確実に狂気へと至る後味の悪い娯楽映画。そして何がすごいって、どこかコミカルなのよ。このストーリで、この展開で、なにゆえここまで哀しいくらいにコミカルなのだろうか?ってくらいで。





そして本題。
そんな私の心をわしづかみにしたポランスキーの変態映画「テナント」から、さらに10年ほどさかのぼった1965年の作品「反撥」を先日なんとなく観てみたら。






ヤバいですね、これ。変態ポランスキーの天才フェチぶり大全開。偏執的なディテールへのこだわりもさることながら、若干20才そこそこのドゥヌーブ演ずる主人公のだらしない壊れっぷりも圧巻。ほんと虫唾が走るほど怖い。


ポランスキーといえば、ポーランド系のユダヤ人としてナチスの迫害から生き延び(母親や親戚はナチスに虐殺されている)、映画監督になってから結婚した女優のシャロン・テートはカルト教団に惨殺され、自らも少女淫行で有罪判決を受けるなど、その私生活もトンデモなのだが、この人にして、この感性。もうこれは、しかるべきしてこうなったというか、そういう運命の星の下の人なのだなぁ、と改めて実感した次第。



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