2018/06/11

シュガータックス(砂糖税)の逃げ道が人工甘味料になっちゃイカンでしょ?

今年2018年の4月に、ヨーロッパの名だたる肥満国家イギリスでは「シュガータックス(砂糖税)」なるものが導入された。



これは一定量以上の砂糖が含まれるコーラやジュースなどのソフトドリンクに課税されるもので、1リットルあたり18ペンスまたは24ペンスの値上がりとなるというから、かなりの税率。(日本価格に換算すると、これまで200円だった1.5リットルボトルのコーラが、いきなり250円への値上がりに相当)



本来このシュガータックスは、イギリス国民の無残な肥満状態(成人の2/3&子供の1/4が肥満)を懸念する声から生まれ、いわゆる食や健康といった領域における「正義」であったはず。だからこそ、庶民レベルでの食改革を提唱する元やんちゃ系セレブシェフのジェイミー・オリバーも賛同し、2016年ごろから精力的な啓蒙活動を続けていたわけで。彼はシュガータックスを”Tax for love”と称し、今後はミルクシェークなどにも適用すべきと主張している。

Jamie Oliver: Sugar tax is 'a tax for love' and should be extended to milkshakes(英テレグラフ)

日本という健康食がデフォルトな国から来た私からすると、砂糖がタップリ入ったソフトドリンクを値上げするよりも、高カロリーの食事を見直すとか、甘味のない飲み物を飲む習慣をつけた方が良くない?とか思ってしまうのだが、まぁ、そこは「食と健康の後進国」イギリスのことだから、最初の一歩としては上出来なのかもしれない。

イギリスの肥満危機が重要視されているのは、別にイギリス紳士やパンクロッカーがデブじゃカッコ悪いじゃん?という表層的なものではなく、肥満が導く成人病などの疾病は、無料の国民健康保険では到底まかないきれんわ!という、切実な国家レベルのクライシスなのだ。言い換えると、通常の病気ですらまともな治療が施されないイギリスの国民康保険で、なぜ自己責任で肥満になった人々の疾病まで面倒みなければならないのか?という、「言いたくないけど、それ自業自得でしょ?」的な、ちょっと狡い意識が根底に流れている気がする。(そもそも肥満体型になってしまう食生活を余儀なくされる人達、いわゆる低所得層や失業保険で暮らすアンダークラスの貧困そのものが底上げされなきゃ、こういた議論は空回りするだけなのだが)

ともあれ、このシュガータックスは紆余曲折を経た後に可決され、先日4月に施行されたわけだが、一体なにが起きたかというと、導入に反対を続けていた製造メーカー各社は「砂糖じゃなくて人工甘味料なら課税対象外なんでしょ?」と、こぞって原材料レシピを”砂糖→人工甘味料”へと変更して値段は据え置きにしてしまったのだ。つまり、これまでゴクゴクと気軽に飲んでいた清涼飲料や炭酸飲料は、いつの間にか後味の悪いケミカルな人口甘味料が大量に含まれることになった、という寸法。

我が家(とはいっても私とダンナさんだけだが)では、普段コーラなどのソフトドリンクは飲まないのだが、たまに数ヶ月に1回くらいWaiteroseのビターシャンディ(ビールのビターとレモネードを混ぜた飲み物)を、ちょっとしたご褒美として飲むことがあった。そして残念なことに、このビターシャンディは4月のシュガータックス導入を機に店頭から姿を消してしまった・・・。原料の砂糖を人工甘味料に切り替えてまでして販売を続ける事ないよね、って判断だったのだと推測するが、砂糖税分を加味して値上げしてもいいから続投してほしかったなぁ、とちょっと寂しい。

同時に市場に出回っている清涼飲料&炭酸飲料のほとんどは、砂糖から人工甘味料に原料変更されてしまったため、何飲んでもダイエット飲料の味がする。これって、なんだかなぁ。

砂糖って、「イコール=悪」みたいに捉えられてるけど、本来は植物から抽出された自然由来の甘味料で、私たち人類が古来から利用してきたものなんだよね。現在は様々な食品や嗜好品に不必要に含まれているため、その弊害が取り上げられているけれど、あまり精製されていない砂糖を、本当に必要なときに適量を摂取する分には問題ないはず。むしろケミカルな人工甘味料の方が、健康的にはどうなの?って感じ。

てんさい糖の害について
(以前書かせていただいた記事)

そういった意味では、今回のイギリスでのシュガータックス導入は、人工甘味料という逃げ道に迂回しただけとも言える。カロリーカットされたケミカルまみれの清涼飲料&炭酸飲料を、いままでと同じようにガブ飲みするイギリス人達は、結局本質的な部分でなにひとつ変わってない。

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