2017/12/13

ダブリンで移民として働くということ・中華系テイクアウト専門店1


 ダブリンに移住した当初の数ヶ月は、入国の際に取得した配偶者ビザの延長に時間がかかり、正規の会社勤めがオフィシャルにできない中途半端な時期でもあった。

ノホホンと専業主婦でもしてれば良いものの、貧乏性というか「何かしてないとウツになっちゃう」気質のため、とりあえずはアルバイトでも!と、ダブリン市内の飲食店や小売店へ足しげく通っては履歴書をセッセと配ること数週間。

結局地元フィブスバラで、華僑系ビジネスマンが経営する”なんちゃって日本食”テイクアウト専門店のカウンター業務を2か月ほどすることになった。




ダブリンの働く移民、働かざる現地人

ところで、ダブリン市内の飲食や販売、そして清掃といった低賃金の単純労働は、ほぼほぼ出稼ぎや移民の外国人に占領されており、現地人のチャヴなどはそれを「外国人共が安い賃金で働きやがるから、こっちに仕事が回ってこねーんだよ」とブイブイ文句を言いながら、外国人がアクセク汗水流して働いて収める税金で支払われる生活保護を受け、昼間から飲んだくれてらっしゃる。

私の安普請での隣人などはその典型で、ドラックかお酒かセックスか喧嘩をしていないときは眠って日々をやり過ごしている20代半ばのアイルランド人カップルだった。同じ家屋には出稼ぎ外国人が大勢で集団生活をしていたのだが、このカップルは自身たちが抱える鬱憤のはけ口として、彼等出稼ぎ移民達に醜い言いがかりをつけては、ブイブイ勝手に吠えていたのがなんとも滑稽で、そして心が痛むほど哀れだった。

ともあれ私もイチ移民として、ここダブリンで底辺に位置する低賃金の単純労働の環境に身を置き、同じ境遇で働く様々な背景を持つ人達と関わり、結構面白い体験を沢山させていただき、当時は「うわー!」「なにー!」「ひえー!」の連続だった価値観ショックも、今は良き想い出だ(・・・ワナワナ#)


ダブリンでのアルバイトの探し方

日本人がダブリンで正規の正社員や契約社員で働く場合、日本や他の国と同様、企業の求人状況をリサーチして応募する、またはジョブエージェントに登録してポジションを紹介してもらうのが一般的。

しかし、ことアルバイトに関しては、特に店舗を構える飲食店や販売店の場合、直接お店に履歴書を持って自分から「仕事ないですか~?」と突撃することが多いらしい。「おお、都会なのにそんなのアリなんだ~、面白い!」とワクワクしてしまった私は、さっそくダブリン中心部のエリア散策も兼ねて、履歴書をアチコチのお店にバラ撒きに行った。

実際に店舗に入って、従業員やオーナーと会って話をすれば、そこがどんな職場なのか大体の雰囲気はつかめるし、そこで自分が本当に働きたいかどうか?のチェック機能も果たしてくれるので、これはとても良いシステムだな、と思った。

ただしダブリンに限って言えば、ロンドンやパリなどと違い、まだまだ日本人の絶対数が小さいため、現地日本人のためのサービス店(食料品やレストラン)も、日本から進出している企業も非常に少ない。(注:2016-17時点での話、ブレグジット以降は大きく変化するはず)

そのため、「日本人だから」というのはセールスポイントにならず、他の国から来た出稼ぎ外国人と対等に、現地のカフェやレストランやスーパーなどの職を取り合うことになるあたり、恐らくシャイで小心な日本人にとっては最初のハードルが高いかもしれない。(が、実際にやってみると、なーんだ!心配して損した!ってコトになるのでご安心を)



日本食テイクアウト店のお仕事

今回私が働くことになった地元フィブスバラのチャイニーズテイクアウト店(表向きはエセ日本食)も、履歴書を配りにいったら、ちょうどバイトが来なくなったらしく「いますぐ代わりに働いてくれる人を探してるアルよ、今日の5時に来てくれ!」「お、おう!オッケーアルよ!」と即決3分であった。

とりあえず表向きは日本食だから、日本人のお客さんが多く、日本語の能力を求めているのかな?と、尋ねてみると、チャイニーズマフィアのオーナーの答えはNO。「いや、ここには日本人のお客さんは来ないから」とキッパリ。

そこで面接時に確認した今回のバイトに求める条件(&マイリアクション)は下記のとおり・・・。

英語がマトモに使えること!
特に電話注文がこなせないと話にならない。今いるバイトは皆外国人(フィリピン・ルーマニア・韓国・中国)で英語がままならない。

★「英語は問題ないですね、任せてください」とは言ったものの、後に「うわっ!アイルランド訛りと外国人訛りの壁を想定していなかった!」と大騒ぎするハメに。でもすぐ慣れたけど。

地元の地理に長けていること!
配達をするドライバーの手配を管理するので、地理感がないとお話にならない

★地理については、住み始めて1ヶ月くらいの新参者ゆえ、地名を聞いても全然ピンと来ないのだが。カウンターにPCがあったので、「Google map使えば楽勝でしょ」とタカをくくって大きく「イエース、オフコース」ということにしておいた。が、結局電話口の向こうから聞える住所は、やっぱり訛が強く聞き間違いやすくGoogle mapもあまり活用できなかった。


日本食メニューの説明ができること!

日本食をよく知らない人が多いため、イチイチ説明しなければならない

★日本食メニューの説明は、もう任せてください!こちとら日本人歴数十年ですよ?・・・とは言ったものの、私が知っているのはリアル日本食であって、チャイニーズによるアイルランド向けのエセ日本食ではなかったのだ・・・ガーン。エビフライにプローン・テンプーラなんて名前付けないでっ!


キッチンの方も手伝えると尚可!

時間があったらスシロールやニギリ、簡単な炒め物をお願いするアルよ

★日本でのビーガンレストラン経営と幼稚園の給食サービスの経歴を強調した履歴書を持参したので、多分キッチンの経験を買われたのかなー、と後になって気づいた。いやいや、怖かったよ、チャイニーズキッチン(笑)、でもスシロール(特に裏巻)の技は覚えたので、将来ぜひ活用しよう。


新しいメニューの開発をヘルプしてくれ!

我々は日本人ではないので、方向性を失う可能性もある、そこでぜひ「日本人」としてアドバイスをしてくれまいか?

★ちょうど新しくベントーボックスを開発中だったため、色々と本気でアイディアやアドバイスを出したけれども、全部却下されましたわ。なぜだろー?



こんな感じで始まったチャイニーズ(もとい日本食)テイクアウト店でのアルバイト、積もる話はまた次回。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

初めまして。アイルランドのブログ村からこちらの記事に来ました。私は昔カブラの近くに住んでおり、Phibsborough は市内に行く通り道だったので、懐かしくてコメントしてしまいました。
お勤めしていたなんちゃって日本食はもしやTで始まるお店でしょうか?
前回の記事も拝見しましたが、Phibsborough は等身大、という言葉がしっくりくると思います。マウントジョイに出入りする人や運河で寝泊まりしている人を見ると悲しい気持ちになりますが、これもダブリンの現実なんですよね。
ルアスの新しい路線がPhibsborough を通るし、町の様子もこれから変わっていくことでしょうね。

Yumiko Mosley さんのコメント...

匿名さん
コメントありがとうございます。
フィブスバラ繋がりの日本人の方がいらっしゃるとは!
そういえばルアスも開通するんでしたね、ますます目が離せないフィブスバラ!
マウントジョイ刑務所の存在や、運河沿いの実情など、日本に居たら伝わらないであろうリアルなダブリンの空気感には、ただならぬ愛着があって、今でもよく思い出してます。
なんちゃって日本食店の名前は、分る人には丸わかりということで、とりあえずここでは伏せておきます(笑)