2017/11/25

ダブリンに住む・ダブリン北側は治安が悪い?

ダブリン7のフィブスバラにある悪名高いカブラパーク

ダブリンの治安について

一般的にアイルランドの首都ダブリンは治安のよい都市と言われ、現地の語学学校が生徒獲得のマーケティング戦略として謳う「アイルランドに留学すべき○つの理由」のひとつとしても必ず挙げられている。

ただしそれは、あくまでグローバルスタンダートから見た視点であり、決して「お財布を片手に持って道路を歩いても安心な日本の感覚」から鑑みた意見ではないことは留意したい。


例えば、一度でもパリやニューヨーク、もしくはマニラやコルカタの物騒なエリアを一人で歩いたことがあるのなら、ダブリンの街は拍子抜けするほど警戒心が薄れるような空気感だ。

しかし日本とは違って、ヤク中や物乞いは普通に至る所にいるし、スリやタカリに出会うこともあるだろうし、人種差別意識を持つ人から言葉や肉体的な暴力を受ける可能性だってあるのがダブリンの現状。

一億総中流として全てが整然と平均化された日本ではあまり表出することが無いけれど、都市国家において貧富の差が歴然と存在する限り、その隙間には澱の様に蓄積された残滓のようなものが常に漂っている。それを単純に貧困というくくりで切り捨ててしまっていいのか?が問われているのが現在(2017年)のイギリスだが、ダブリンにもその空気感は確かにある。

ダブリン7のドラムコンドラ


それでも全般的にダブリンではアイルランド人の朴訥な人の良さがにじみ出ているというか、見知らぬ他人に対する人情の厚さが、色々なマイナスポイントをチャラにしてくれているような感じ。

私個人的にはダブリンに来て間もない頃、不安な気持ちと孤独感で心もとなく街をさまよっていた日々があったのだけど、毎日のように人の好いアイルランド人に声を掛けられては、ホッコリと心が緩んで暖かい気持ちになり、なんか知らないけどものすごく励まされた記憶がある。

また、通りすがりに小銭をせびるアル中っぽいオバサンや、路上にうずくまって物乞いをする薄汚れた青年に対して、「ごめんなさい、いま私には何もしてあげられません」と言うと、必ず慎み深く「サンキュー」と応えてくるのが印象的(インドでは「なんでやー!」と詰め寄られるし、ロンドンでは「バカヤロー」と罵倒されることが多い)。


ダブリン中心を流れるリフィー川



ダブリン北側について

さておき、そんなダブリンの治安について日本語でネット検索すると、軒並み画一的な結果が出て来て、これまた面白いなぁ、と思った。

ダブリン市内中心を流れるリフィー川を境に、南側は裕福層が住み治安がよいが、北側は低所得層が住み治安が悪いため、住むならダブリン2,4,6,8…といった偶数区域(南側)をお勧めします。

え、そんな簡単に南北で線引きしちゃうの?と、こっちが狼狽えるほどサックリとした情報が意外とまかり通っており、それをまた鵜呑みにする人も実在するのか、現地の日本情報サイトMixBに掲載される賃貸情報では、ダブリン南部の物件のみを希望する方々が決して少なくはない。

そういえば大昔、私がまだ小学生だった昭和40年代、両親世代の大人たちが「○○ちゃんは川向うだから・・・」と、越境通学していた同級生を一種の差別的な形容で括っていたが、当時の私にとっては“川向う”なんて無意味というか、「大人ってバカだなぁ、○○ちゃんのことは何も知らないくせに・・・」と思いながら仲良く遊んでいたのだけど、それに近い感覚なのかな?

私自身はアイルランドに来て最初の3ヶ月はリフィー川北側のダブリン7に住み、その後ダブリン9のバリーマン近くに引っ越した。日本語のダブリン情報を見ると、ダブリン1とダブリン7は特に治安が悪く、さらにバリーマンはサマーヒルと並びアイルランド人も眉をしかめる要注意地域らしいのだが、果たして実際はどうであったか?というと、いや別に全然「普通」だった、としか答えられない。

そこに住む人々は、普通に人生に悩み苦しみ、人を愛し慈しみ、日々を楽しみながら、この地域で社会生活を営んでいて、まさに等身大のリアルなダブリンがそこにある、という印象。

オシャレな雑誌に出てくるようなステキな住宅が並び、洒落たショップやカフェが点在し、すれ違う人々も上品でポッシュな場所がイコール=「裕福層が住む治安が良いエリア」の南側、一方カウンシルフラットが立ち並び、コンビニの前では浮浪者が小銭をせびり、酔っ払い同士がパブの外でケンカをし、道を行くのはラフな格好のチャヴと移民達な場所がイコール=「低所得層が住む治安が悪いエリア」の北側・・・などと鵜呑みにしているとしたら、それは21世紀初頭のリアリティをガン無視しているようなものだ。

多分、おそらく、それが2~30年前だったら、そういった線引きはあったのかもしれないけれど、、昔はそこに存在したであろう「富める者」と「持たざる者」の棲み分けの境界線は、押し寄せるジェントリフィケーションの影響で希薄になってきているんだなぁ、というのが2017年現在のダブリンに居るとよく分る。

ダブリンのビジネスエリアIFSC界隈


現在のIFSC界隈は、ビジネスエリアとして再開発されるまでは殺伐としたゲットー区域であったそうだし、ダブリン7のいかにも下町的なストーニーバターやスミスフィールドは、今や穴場的なトレンディスポットが軒を並べ、我が町フィブスバラですら(失敬!)こじゃれたカフェレストランやヨガスタジオが、いわゆるヒップな若者を引き付けているのが現状。

そして、私個人的には、こんな風に様々な文化や価値観が交差するような雑多な場所が好きだ。浮浪者も酔っ払いもドラックディーラーも不法滞在の移民もヨガティーチャーも学生もサラリーマンもシングルマザーも牧師もミワユミコも、誰もが居場所を与えられ、地に足つけて生きていけるような、そんな空気感がダブリン北部にはあるんじゃないかな?というのが、ほんのちょとだけダブリンに住んでみて私個人が思った印象。

日本人女性がワーホリとが学生ビザで滞在するのなら、ダブリン北部のフィブスバラ、ドラムコンドラあたりをお勧め。まずシティセンターに歩いて行ける距離、安い商店が多くて便利、そして賃貸物件が断然安い。少し離れるけれどカブラ地域も住宅街っぽくて安心できるエリア。ただし、道を一本隔てただけで、ガラリと雰囲気が変わることもあるので、エリア名や区域だけでは住む場所を決めない方が良い。ちなみに私がお勧めするフィブスバラも、ガブラパークという道だけは絶対避けた方がよろしい。なんたってソコに住んでいた私が言うのだから、間違いはない(笑)

ダブリン7のフィブスバラ

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