2007/03/10

朝の怠け心

早朝5時の目覚ましが鳴る。


いつものように朝6時半からの練習へ向かおうとベッドから出るが、前夜の食事が祟ったのか、全身がとてつもなくだるく、非常に怠惰な状態に包まれ、身体がいうことを聞かない。

高額な授業料を納め、遠路はるばるマイソールくんだりまで来ている身としては、あと何日シャラで練習ができるのだろうか?と、ついつい損得勘定でソロバンをはじくような浅ましい思いがよぎり、「意地でも行かねば!」と奮起をイッパツかまし、6時過ぎに家を出る。

しかし、私の足はシャラへは向かわない。いつもと違う方角へ、これまで足を踏み入れなかった区画へ、自然と足が進んでゆくに任せてみる。




日の出直前の街は靄がかかり

まだ消えていない街灯が、ほの明るい空に溶け込むように

弱々しく前夜の疲れを残像のように残している。

行き交う人々はみな寡黙だ

そしてそれが街並みの静けさを、よりいっそう際立たせる。





夜明け前の鼓動。

大地の、木々の、建物の、人々の、動物たちの

それぞれの内に秘められた蠢きが

微細な振動と共に熱を発し始める





落ち葉を箒で掃く音。

門前に白粉で描く曼荼羅模様。

家の中からかすかに聞こえてくるチャンティング。

ジャスミンの香り。チャンダンの香り。

人々の生活が始まる、その音、匂い、熱、バイブレーション。

全てを包み込みような、大らかなリズム。




夜明け前の静謐な空気の中

知らない小道を徘徊する愉しみに耽る。

ふと顔を上げ、後ろを振り向くと、

そこには冗談のようにドデカイ太陽が

東の空に堂々と昇ってゆくところだ。




空の色が変わる

街の色が変わる

世界のバイブレーションが、またちょっとだけ変わる瞬間。




ああ、美しいなぁ。






無理して練習に行っていたら、この光景を感じることはなかった、と、今朝の怠け心を正当化しながら、「この世のすべての生きとし生けるものにとって、今日が良い日でありますように」と、心の奥底がうずくような熱を噛みしめた、とある朝。

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