2003/02/22

太平洋のほとりに住む



私は隅田川の東京湾河口に住んでいる。

この川は利根川の支流荒川から分岐して、東京湾と河口で繋がる。

そしてこの東京湾は太平洋となり、彼の島々へと続く。

東京の埋立地に引っ越してきてから、少しでも時間が空くと、季節も時間帯も問わず、豊海埠頭へ自転車で向かっては迫るような海面を飽きずに眺める。



停泊する船、釣り人、冷蔵建物に荷を収めるトラック。

右手に竹芝桟橋、左手に晴海、正面にはレインボーブリッジとその向こうにお台場。

行き交うボートやフェリー、そして時折屋形船。

ここに立つと、東京が馬鹿げた作り物のように浮かび上がってくる。

幾万もの人口ライトが密集する建物の群れが海の上に乗っかっている姿は滑稽だ。

その作り物の都市の内側でビルと渋滞とコンクリートの道路に囲まれ生活する人々を想像すると叫びたくなる。

こうして埋立地側から「向こう側」を見ることで定期的に覚醒しようとしている自分がいる。

日中はまぎれもなく「向こう側」で生きている私だがそこに埋没し続けるだけの勇気はない。

時折体重計に乗って体型を管理するのと同じように自分の心のバランスをとってみる。

この黒く膨張した海水は遥か彼方の太平洋へと続くんだ、と自分に言い聞かせながら。

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